がんばりの火

7月16日はみおりの幼稚園の夏祭りでした。

ゲームをしたり、吹奏楽を聞いたり、盆踊りを踊ったりと盛り沢山なのですが、クライマックスは年長さんによる「がんばりの火」。


陽が落ちて暗くなると園庭の中央にものものしげな黒い鉄の棒で組まれた火床が出現。高さ1メートルほどのがっしりした鉄の台の上に、松明をくべる鉄の囲いがのっかり、その火床を水の入った7~8つのバケツが囲います。月曜日から泊まりがけで高尾山の遠足に行く子供たち。みんなで力を合わせて大きな火を作り、その火を天狗様に返しに行くのだそうです。


暗くなった園庭を、一人一人順番に松明を持ってぐるりと歩き、最後に中央に松明をもっていくと、副園長先生がその一つ一つを受け取り、火床に焼べてくれます。松明は1メートル程の長さ。こどもの頭ほどの大きさはあろうかという火がめらめらと燃え、子供たちの真剣な表情を赤く照らします。先生が一人一人につくのですが、自分で持つ子供、先生と一緒に持つ子供と色々。でも、皆一生懸命火を運び、自分の松明が焼べられたら、安堵と達成感のまじった表情で、元気にかけていきます。


みおりの通う幼稚園は、お勉強などには力をいれず、子供が活き活きとたくましさ、わんぱくさを育むのをサポートしてくれるとても良いところ。少し線の細いみおりですが、そんな素晴らしい環境の中、日に日に逞しさをまし成長してきました。「とは言っても、あんな大きな松明を怖がらずにもてるかしら」、と少しそわそわしているところについにみおりがやってきました。


目に飛び込んできたのは、背筋を伸ばし、燃えさかる松明を高々と頭上にかかげ、先生の手を借りることなく、堂々と園庭を歩くみおりの姿でした。凛とした自信あふれる表情で、その場の雰囲気、そして自分の成長を楽しんでいるかのような娘を、燃えさかる松明が煌々と照らします。親として子供の成長にびっくりすることはよくありますが、「いつの間にこんなに大きくなったのだろう・・・」と感じたのはこれが初めてでした。3年間の幼稚園生活を終え、「来年からはもう小学生だからね」と娘に語りかけられている、そんな感覚でしょうか。親の心配なんてよそに、子供は立派に育っていくのですね。


逞しく成長した娘の姿に、少しうるうるきたおとうさんとおかあさん。その感動的なシーンに、空気を読まず「早く帰りたい~」と水をさす坊主が約一名。君も来年は保育園を卒園し、みずほ幼稚園生だ。おねえちゃんのように立派に成長してくれることを期待してるよ・・・。